2019年7月19日公開、リブート版『チャイルド・プレイ』のラース・クレブバーグ監督が、時代を超えて廻りくる曰くつきポラロイドカメラの引き起こす恐怖を描く『ポラロイド』のレビューページです。『ポラロイド』の映画情報はこちら。
作品名 | ポラロイド |
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監督 | ラース・クレブバーグ |
製作 | ロイ・リー/クリス・ベンダー/マイケル・マホニー |
製作総指揮 | ヨン・アイナル・ハーゲン/ペッテル・オンスタッド・ルーケ/マシュー・シグナー/キース・レビン/マリ・ユーン/ジェイク・ワグナー |
原作 | ラース・クレブバーグ |
脚本 | ブレア・バトラー |
出演 | キャスリン・プレスコット/タイラー・ヤング/サマンサ・ローガン/グレイス・ザブリスキー/ミッチ・ピレッジ/ハビエル・ボテット/ケイティ・スティーブンス |
上映時間 | 88分 |
製作国 | アメリカ |
『ポラロイド』
レビュー
Fuzuking さん
劇場予告を観て、これは怖がらせてくれるんじゃないかと思って楽しみにしていた『ポラロイド』 。先日観たリブート版の『チャイルド・プレイ』に続き、『IT/イット それが見えたら、終わり。』の製作陣が携わっていて、監督は同じくラース・クレヴバーグ。配給会社が違うのに、同じ監督の映画が同じ日に公開されるのは珍しい。関東地区での上映館数だと『ポラロイド』が8館、『チャイルド・プレイ』が60館近くと、注目度が全然違うんだけど、ホラー映画としてはこちらの完成度の方が高かった。
ベースのストーリーは劇場予告の通りシンプルで、たまたま入手してしまったポラロイドカメラで写真を撮ると、謎の人影が写り、その影の近くに写った人が死んでしまう、写真が複数あると影が写真を移動して、次々と仲間が殺されていくというもの。ただ、室内も外もとにかく映像自体の明度が低くて、目を凝らして見てしまうんだけど、来るぞ!来るぞ!って分かっていても暗闇からいきなり出てくるから、精神的な怖さというよりは、お化け屋敷のように驚かせる怖さのオンパレード。前半はそんな感じで何回も怖がらさせられる中、惨劇の元凶である写真を燃やしてしまおうとライターで火を付けるんだけど、写真の中で燃えている友人の腕が実際に燃えてしまうという、もうどうにも抵抗のしようがない状況に陥ってしまう。そんな行き詰まった状況を打開するため、これまではまわりの友達と上手く行ってなかった内気な主人公が、子供の頃に亡くなった記者をしていた父親を思い出し、父親なら原因を追いかけるはずと、意を決して動き出す。その中盤以降、少し単調になって来ていたホラーから、影の正体を暴く推理サスペンス的な様相を呈して来て、その正体とともに、観ている側も、なぜずっと暗い画面を見せられていたのかが分かり、ここは感心させられたポイントだった。そして、影との最終バトルに進んで行く…。
この作品はクレヴバーグ監督が製作・監督・脚本で作った短編映画『ポラロイド』をベースに作られていて、冒頭のシーンはその作品のオマージュとなっている。その作品でもやはり写真と暗闇を活かした恐怖の表現が取り入れられていて、低予算の作品ながらも、トレモリノスファンタスティック映画祭で最優秀ショートホラーフィルム賞を受賞。機会があれば短編の方も観てみると、より本作を楽しめるかも。