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運び屋
評価: 4.3

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2019年3月8日公開、クリント・イーストウッド監督・主演のアメリカ映画『運び屋』のレビューページです。『運び屋』の映画情報はこちら

作品名 運び屋
監督 クリント・イーストウッド
製作 クリント・イーストウッド/ティム・ムーア/クリスティーナ・リベラ/ジェシカ・マイヤー
出演 クリント・イーストウッド/ブラッドリー・クーパー/ローレンス・フィッシュ/マイケル・ペーニャ/ダイアン・ウィースト
上映時間 116分
製作国 アメリカ

『運び屋』 レビュー

運び屋

Ayana さん


クリント・イーストウッド、監督・主演作。自身の監督作品では「グラン・トリノ」以来、10年ぶりの主演。イーストウッドファンとしては久しぶりに俳優としての彼が観られる喜び。実話を基に、90歳の麻薬の運び屋、アールを、88歳となったイーストウッドが演じる。共演にブラッドリー・クーパー、アンディ・ガルシア、ローレンス・フィッシュバーンと、そそられる面々。
 
主人公アールは、“デイリリー”栽培の仕事に情熱を注ぎ、家庭も顧みず、娘の結婚式でさえ欠席し、花の品評会を優先させるほど。社交的で洒落た装い、女性への接し方も上手い。ソトヅラ良いけど家庭では…、男の人あるあるだよねぇ、と。自分が輝ける場所、煩わしいものから解放される場所、チヤホヤしてもらえる場所は心地良いよね。アールにとって、それは家庭ではなく、デイリリー栽培だったんだろう。でも良い時ばかりは続かない。ネット通販におされ、廃業、栽培所も差押え。何もなくなったら、やっと家庭を思い出す?そんな勝手はさすがに家族も受け入れてくれず。妻や娘の気持ちを蔑ろにしてきたんだから当然でしょ。でも、アールは、家族の為に働いてきたのになんでだ、と納得いかない感じ。わかってないなぁ。
 
そんな時、車を運転するだけでお金がもらえるという話を持ちかけられる。ある意味自暴自棄のアールは仕事を引き受ける。そんな簡単に引き受けちゃっていいの⁈うまい話には裏があるよー!とハラハラ。結局仕事はメキシコ麻薬カルテルの運び屋で、でも持ち前の楽観的、社交的、我が道を行く性格が功を奏し、次々仕事をこなし、回を重ねるごとに報酬は増え、周囲や家族にそのお金を使うことで、自分の存在感を取り戻していく。運び屋としても知られる存在となり、そうなるともちろん捜査の手は伸び…。
 
家庭よりも自分の生き方を優先してきたアール。彼の家族だったら振り回されっぱなしで大変。でも、なぜか憎めない魅力がある。家族はいつもいてくれて、自分を理解してくれて当然の存在と思いがちだけど、そうじゃない。アールは遅かったかもしれないけど、その大切さに気づいたし、気づかないよりはずっといい。妻も娘もずっとアールの愛情を求めていたんだろうな。魅力ある人だからこそ、憎みきれない、捨てきれないもどかしさ。こんな家族がいてくれて、アールは幸せな人。
 
「なんでも買えたけど、時間だけは買えなかった」、深く心に染みる。アールの言葉はいくつも胸に刺さる。それは、経験に基づく真実だから。後半、とめどなく泣けてくるのは、アールの、自分を生き、結末に抗わない潔さ、彼の数々の言葉が教訓として響く年頃になったからか。
 
クリント・イーストウッドあってこその作品。

評価: 4.3

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